●すんません、かぼすって知ってますか?○

「かぼす!え、かぼすってあるやんか…は?知らんの?」

テニス部の仲間と下校中、果物野菜縛りのしりとりをしていた時の自分の発言である。

ここで言うかぼすとは、もちろん皆様ご存知の「ミカン科の常緑広葉樹またはその果実で、柑橘類の一種である。」の、あの緑色のあれ。九州で盛んに栽培されているとはいえ、セミノールやタンカンやへべすよりかは全国的にメジャーな果物だ。

あろうことか、その場にいたショーゴとジュンゴはかぼすを知らなかった。俺が答えに窮して架空の果物を産み出したみたいな雰囲気になっていた。

「いや、絶対あるって!緑色で焼き魚にかけて食うんやって!レモンみたいに!食うたことある言うてるんやから絶対やん!」

ヒートアップしていく俺と白けていく場の空気。

「お前らが知らんだけやろ!みんな知ってるわ!」

変なところで負けず嫌いな中学生だった。肉まんという語は、その肉が何の肉であるかを定義していないので不適切であるから、肉まんという食べ物は存在せず、豚まんというのが正しいのだという主張をして孤立したこともあった。

「ほな分かった!これからすれ違う大人に声かけて聞いたるから、それで知ってたら俺の勝ちやで!
でも話しかけるの恥ずいから、すれ違いざまにわざと転んで『大丈夫?』って声掛けて貰ったところで、すんません、かぼすって知ってますか?これでいくから!」

群を抜いて頭が悪かった。そうこうしているうちに買い物帰りのおばちゃんが前から歩いてくる。

「うわぁ!転けた!」

大胆アクションでラケット放り投げる俺、エナメルバッグから飛び出る弁当箱、おばちゃんは当然の如くスルー、折れる心、爆笑する友達!

「冷たい人やなあ…」

負け惜しみで聞こえるように言った。もちろん反応は無かった。この話はここがピークなのだが、思い返すと今の俺にもこの要素あるよなあと思う。変なところで勝ちにいきたがるところとか、そのために手段を選ばないところとか。

そしてこの戦争の行方であるが、次にすれ違った普通のおばちゃんに普通に聞いて「知ってます」と普通に答えてもらえたことにより、俺国の勝利が普通に確定した。ざまあみさらせ。

以上です。

●ゲームのことをあまり書かないのでカテゴリを「田舎暮らし」に変更しました○
 
表題の件のみて失礼します。

以上でした。