今日は大安ということもあって、とある工事現場の安全祈願のお祭りに出向いてきた。
ここでいう「お祭り」とは「縁日!わたあめ!カタヌキ!」のほうじゃなくて、粛々と神様に祈りを捧げる儀礼・式典のほうの「祭り」だ。

境内に咲いていた「ホトトギス」という花
神職が工事現場や住宅などに出張して行う祭りごとを、ざっくりまとめて「外祭(がいさい)」という。
主なところでは地鎮祭や上棟祭、ほかに故人の御霊を偲んでおこなう祖霊祭などが知られている。
そして今回の工事安全祈願祭とは読んで字のごとく、工事が無事に進むことを祈願する祭典のことである。
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現場での安全祈願祭はたいていの場合青空教室ならぬ青空祭場、壁も天井もないような屋外で斎行される。
それゆえ、祭壇などの道具を車に積んで現場に持っていき、舗設(設営)をするところから祭典がはじまるのだ。
勤め先には社用車(社用車の社は神社の社!)がないので自家用車を使うのが通例である。
そして俺の車はべらぼうに散らかっている。

ミノムシになるときに使った蓑が後部座席を占領している

冬に使ってたコートが車にまだ載ってる!(この時期まできたら片付けないほうが効率的だ)

クロミちゃんは家に帰ってもらおう
こりゃあいかんので片付けて祭具を積めるようにした。

片付けるきっかけになったからよかった
内容は
・しめ縄
・榊(お祓い用、神籬用)
・装束類
・祭壇
・案
・三方など神具セット
などなど。神饌(お供物)や玉串用の榊を神社が準備する場合はそれも準備物に加わる。
もろもろ補足を入れたいけどキリがないのでそのままいきます。
で、それで、外祭に出向く際にはタントとかN-BOXとかの軽ハイトワゴンが便利だっちゅう話。
背の高い案(机)が積めるのがいいし、かと言って大きすぎる車だと狭いところに入っていけない場合がある。
「あのお坊さんベンツ乗ってるぜ!」みたいな感じも軽なら出ないからね。
でも、ベンツ、いいよなあ。
や、乗りたかねーけど!(すっぱいベンツ)
そういうわけでみんなタントに乗ろう。フォルムも可愛らしいし最高ですよ。
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祭典日は雨の予報が出ていた。
いつも着用している神社所有の狩衣を持っていくと濡らしてダメにするかもしれないから、お祖父ちゃんに貰ったっきり使っていなかった自分の狩衣を持っていった。

狩衣(畳まれているすがた)
ウサギ柄。いいだろう!
ところどころほつれていたから、赤い糸で縫った。おれ史上はじめて玉留めができた。
次にシワを伸ばすためのアイロンがけ。
どうでもいいんですけどアイロンって野蛮じゃないですか?きょうび熱々の鉄板押し付けるって。
あて布とかしたほうがいいかなと思ったけどそのまま低温度で強行した。テカテカになっちゃったらなっちゃったで格好いいし。
でも狩衣は高いから大事にしたいネ(↑井筒さんがネットで狩衣売ってるみたいだぞ!)。
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そんで、こんな話を余裕書いているくらいだから安全祈願祭は無事に終わったのだった。
施工は地元の業者さんだったので祭壇の組み立てやしめ縄張り、神饌の準備、テント設営などテキパキ用意を進めて頂いて非常に助かった。
「やっぱり地元の業者だと良いですね」と祖父に話してみたら「地元の人間だから信仰心が篤いのはさることながら、社員に神楽舞がいたりするので勝手が分かっているんだ」みたいなことを言う。はへえ。

祭りのあと、ポスト・フェストゥム(文字通りの!!)
神職資格取得のために伊勢にいた専攻科生のころ、祭式実技の講義で先生がこんなことを言っていた。
「地鎮祭に行ったときなんかは、地面が雨で濡れてぐちゃぐちゃになっている場所で立ったまま狩衣を畳むことがあると思います」
当時はそんなことないだろと話の続きは聞き流したが、今日がまさにそのシチュエーション。他人様のアドバイスはマジメに聞いといたほうがいいんだよなあと思った。
早寝早起きとか朝ごはんとか挨拶とか、おとなになってみると分かるけど、子どもの頃に習ったことは全部かなり大事だ。