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田舎に棲まう日本最大級のミミズ、シーボルトミミズが綺麗だ。

その光沢、その煌めき。すらっと伸びたカラダ。虫好きでなくても思わず見とれてしまうことだろう。彼女は美しすぎる。※

今回はそんなシーボルトミミズさんの特集です。容赦なくモザイクなしで写真を貼りまくることをはじめに宣言しておきます。

ミミズは雌雄同体なので彼女と呼んで差し支えない

シンデレラよりよっぽどヒロイン
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これは玄関の隅で身を潜めていたシーボルトミミズの写真である。ホコリや土にまみれてゴミ寸前といった風情だが、これからのシンデレラストーリーに期待されたし。

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不憫な彼女を手に取る。すでに妖艶さをたたえているが、土ぼこりを洗い流してあげると、ほら。

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どうだ、綺麗でしょう。

自然の動物らしからぬ透き通った青色。光をやさしく反射するしなやかで伸びやかなからだ。

素晴らしい美貌を持ちながらそれ誇ろうともせず土の中にいそいそと潜っていくさまは健気でありつつも自主的で、どんな誰よりもヒロインだ。

魔法にかけられたあとも地中でひとり生きることを選ぶ。それが灰かぶり姫ならぬ土まみれ姫の生き様である。

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美しい。ここから先も情緒的な話に終始するので、心ばかり情報をまとめておこう。

学名:Pheretima sieboldi
和名:シーボルトミミズ(江戸時代に来日した学者のシーボルトにちなむ)
俗称:カンタロウ、山ミミズ
体長:長いもので40cmくらい
生息地:西日本、主に山林部
トリビア:うなぎ釣りの餌としても有名、身体からネバネバの液体を出すことがある
参考:(シーボルトミミズ - Wikipedia)

彼女は神出鬼没
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もっと大きくて綺麗なシーボルトミミズを捕まえるために滝のそばにやってきた。水気の多い森林に生息しているという情報をネットで仕入れたのだ。さあ、土を掘り返して彼女に会おうじゃないか。今のぼくには虹でさえ霞んで見えてしまうよ。

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落ち葉を取り除いて湿った土を少し掘る。いない。

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狙い目とされている側溝の中、見つからない。この日は稀に見る晴天で、森の中に水気が全くなかった。

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さらに山深い地域を探してみるも見当たらず。玄関での出会いは奇跡だったのだろうか。そうと知っていればあのときの時間をもっと大切にしていたのに。

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かわりに赤いお腹のイモリが見つかる。森の中は緑と茶色ばかりなのでビビッドな色は目の保養となり嬉しい。

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おや?と手に取るも

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ごみ。

けっきょく、半日かけて探したがシーボルトミミズの痕跡すら捉えられなかった。生活の中で見かけることはあるのだけれど、珍しい生き物なのだろうか。

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…そうかと思えば、雨の日にふと立ち寄った道の駅の駐車場で発見!なんという不意打ち。カラダの一部、環帯(かんたい)が虹色に輝いていて美しい。

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突然目の前に現れるのも、つかみどころがないヒロインのようでステキだ(実際ヌメヌメしていて掴みづらい)。

100円玉と並べると大きさがよくわかる。

シーボルトミミズ グラビヤ写真集
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ここからはお待ちかね、偶然目の前にあらわれたシーボルトミミズたちの写真をお見せしたい。ちなみに逃げる時は想像している3倍は速く動く。

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すぐ上の画像の個体を捕まえた。ゆうに30cmはこえていた。

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住んでいる場所柄このミミズを初めて見た人の反応を目にすることも多いのだけれど、不思議と気持ち悪がる人は少ない。迫力がそうさせるのだろうか。

ぼくはそんなシーボルトミミズを見て宇宙のことを思う。考えてみれば、夜の暗さを怖がるのに宇宙の暗さを怖がらないのって不思議じゃないか。

丑三つ時という言葉から想起されるのは不気味な出来事ばかり。「夜」には暗くて怖いイメージがあるけれども、同様に暗いはずの宇宙の写真を見たときには美しさに圧倒されるばかりで怖さなんて僕らはみじんも感じない。

星のきらめきは宇宙の暗さや怖さを忘れさせるのだ。夜より宇宙のほうがよっぽど危険で怖いはずなのに。

シーボルトミミズもその輝きでもって、ヒトが日頃抱く虫への嫌悪感や不快感をなかったことにする。実力で周りを黙らせるカリスマのようでカッコいい。

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はあ、綺麗だなあ。

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それぞれ色味が違っている。同個体でも光の当て方ひとつでまったく別の写真が撮れて楽しい。

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…おや、この写真にはなにか既視感をおぼえるぞ。お気づきでしょうか?

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地図アプリが指し示す道に似ている!

おわりに

初見から6年ほど経っているのだが、それでも見かけると嬉しくなって写真を撮ってしまう。日陰者どころか陰すらもない地中で暮らすミミズがこんなにも綺麗って、おもしろいしなんだか勇気が貰える気がする。

いよいよ梅雨がやってきますが、これから田舎の山林を散策するご予定の方はビックリして腰を抜かさないようにお気をつけ下さいね。かしこ。

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とびきり大きいのを計測するために捕獲したのだが、何者かの手によって逃されてしまった。ショック!