覆水盆に返らず但し胃の中には入る

泥水すすってでも生き抜くというのを信条にしている。必要があれば外国軍の尻だって舐めるし、エイリアンから宇宙語を覚えろと強要されたら誰より早く習得する自信があります。

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いつだったか会社の送別会がありまして、酔っ払って食用ではない花を食べたり、土足の床にこぼれたジュースをベロベロ舐め取ったりと大立ち回りをしました。必要性は皆無にしろ本能がむき出しになる酩酊状態でそれが出来るのだから僕はこの点においては本物だと胸を張れるのです。

粗食の心がけ

食事にも執着しないよう心掛けていて、昼には冷凍ご飯をチンしたものをおかず無しでモソモソと食べています。白米が食えりゃ幸せという時代があったのですから、それと比べれば贅沢なくらいです。栄養バランスだの健康寿命だのは誰かが勝手に言ってるだけの話でしょう。

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とは言え、許されるのであれば美味しいものをたくさん食べられるほうがいいとは思います。ああ、世俗を捨て切れないくせにイキがる自分が恥ずかしい。でも恥で飯は食えないので気にしない気にしない。

トマトと塩とお湯の原始スープの味

とある昼休み、たまたまトマトがカバンの中に入っていたので職場の包丁でカット、同僚からインスタント味噌汁のカップ(ゴミ)を貰ってその中に投入。常備されている塩とお湯を加えてスープを作りました。トマト、塩、お湯だけの原始スープ。

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まあ、これのマズさったら!

どこまでいってもトマトの青臭さしか感じない。深みも何もない。雑草かき集めて煮込みましたと言われても全く違和感がない味。トマトの種で食感も悪い上に塩味もキツく、目に涙を浮かべながら飲み干しました。これは食事じゃなくて地獄ですわ。後遺症でトマトが少し苦手になったほどです。

さいきん、不味いもの食べました?

それはそれとして、不味いものを頑張って食べる経験って子供の頃はあったよなあとしみじみ思ったのです。

僕は舌が少し敏感な上に母は家政科出身で料理がちゃんとできる人だったので、その分スーパーの惣菜や学校の給食が不味く感じるんですね。「給食美味しい」と喜ぶクラスメイトたちを見て、普段どんなものを食ってたらそんなことが言えるんだろうと、嫌味ではなく心からそう思っていました。

給食は一部を除きおしなべてエサだと割り切っていたので、どれが不味いとかいう思い出も特にありません。(かきたま汁とプリプリ中華炒めだけは好きだった)。

かと言ってグルメという訳でもないので大人になってからは貧乏食ばかり食べているのですが、やっぱり自分の舌に合わないものは作らないんですよ。でもそれってあんまりよくないことで。

アブラネンド星人がせめてきた!

はじめの話に戻りますが、遠い宇宙のアブラネンド星人が地球を完全に征服しましたと、我々の主食は粘土だから先住民のお前らもこれを食えと、不味いけど毒性は一切なく栄養は満点だ、と。

そうなったときに粘土を美味しく食べる姿を我らの新しい指導者に見せることができれば、さそお喜び遊ばされることと存じ上げるわけです。気に入られれば待遇も良くなることでしょう。

侵略者に「各国の食文化」だとか「人権」だとかそんな言葉を突き付けても事態は何も変わりませんからね。有事の際には全てが丸裸になります。生き抜くことだけを考えなければなりませんよ。

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ルールは捨てた方がいい

こだわりや執着頓着といった枷は無い方が楽なのに、ルールを勝手にでっち上げておいて、それが反故にされた!と勝手に怒る人は一体どういう了見を持っているのでしょう。

僕は生き抜くためにあらゆる物を放擲しますよ。まっさらになれたとき「私」というものが無くなり、心の平穏が訪れると聞いているものですから。

「今の若者は苦労をしていないからダメだ」

おじさんのお説教です。実際に聞いたことはないけれど、確かに、思い通りにならないことをそのまま受け入れる訓練は必要ですよ。そもそも人間一番の重要ごと、生死が全く思い通りになんないんだから。


不味いスープを飲み下すことが死と侵略の克服に繋がるとは何という神秘。皆様もアブラネンド星人の襲来に備えて不味いものを食べ慣れておきましょう。

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バッグの中は宇宙だ。